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海外インディ系TRPG中心の見聞を乱雑に積む場所です

 目移録:主に舶来TRPG関連の新着情報。
 覚書:
自分が遊んだセッションの記録。
 雑物:
書き散らかしやTRPG以外の話題。
 拙訳:
ライセンスに問題ないか許可を得たテキトー訳。

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Mutant City Blues第2版とPushルール

Mutant City Blues 2nd Edition
突然のミュータント化現象以降、人々は空を飛び、壁を通り抜け、心を読み、指先からエネルギー・ボルトを放ち、夢の中を歩くようになった。
特別捜査班の一員として、君と同僚の刑事たちは、都市のミュータント・コミュニティの関わる犯罪を解決する。ミュータントの力が殺しに用いられたなら、君たちが担当する。ミュータントの犠牲者の死体の外枠がチョークで描き出されるとき、君たちが呼び出される。そして戦いとなったなら、己が超常的な力を駆使して、なんとか状況を五分に持っていく。

2009年にリリースされたMutant City Bluesの第2版が準備中とのことです。
Pelgraneのページではプレイテスト募集もかかってます。

ルールはTrail of Cthulhuなどでお馴染み(かもしれない)GUMSHOE。
このルールの売りは調査ものへの特化です。多くのTRPGシステムにおいて、情報収集判定失敗により、話が進まず参加者が退屈するという事態は悩みどころではないかと思います。みなさんも、クトゥルフTRPGなどでダイスの出目による状況の停滞を経験されたことはありませんか?
GUMSHOEでは適切な『調査能力』を持ったPCが、情報を得られる場所に出向けば、状況を推し進める材料が自動的に手に入る仕組みとなっています。なのでランダマイザーによる無用な硬直化に陥らずに済みます。さらにより役立つ情報や細部を欲するなら、『調査能力』を消耗させることで獲得できる。というのが基本構造です。

しかし、実際にプレイすると『調査能力』を消耗してまで入手する価値のある情報なんてそうそうありません。Trail of Cthulhuの公式シナリオをいくつか覗いてみても、「えー、リソース消費してこのゴミ情報はないわぁ」みたいな内容が少なくありません。
考えてみればこれは当然です。最初から、突然の真相判明や大幅な手順のスキップなどの「急所」を仕込んでおくことは、調査のプロセスやシナリオ構造自体を崩壊させかねないからです。もっともな方法がプレイヤーサイドから提示されるならともかく、想定されたありきたりな調査の過程において、単にリソースを消費するだけクリティカルな情報が入るのは、やり過ぎですしセッションの楽しみを奪いかねません。少なくとも、公式シナリオでは手を着けないのが無難な領域です。

そのため、実プレイにおいてこの『調査能力』は、もうひとつのやり方で消費されることがほとんどです。
それは『調査能力』を消耗することで、その能力に関係した利点を獲得できるというルールです。例えば、【警察の話術】を用いて警察の証拠品押収室に出入りする、【軍事知識】で軍高官と面会する機会を作る、【裏社会】で足の付かない武器を購入するなどです。これにより、プレイヤーは調査を進める上での様々な手段や着想を得ることになり、GMはシナリオの大枠を保ちつつも細部をプレイヤーに委ねることができます。むしろ、ここにこそこのルールの真髄があるかもしれません。

今回追加されるPushルールは、この【調査能力】を消耗することによる利点獲得に手を入れるものです。
デザイナーのひとりであるロビン・ロウズ先生の記事によると、Pushとはどの『調査能力』にでも使用可能な、利点獲得のリソースです。セッション開始時に各PCは2点のPushを持つことになります。

GUMSHOEの『調査能力』は、クトゥルフ神話TRPGの『技能』などと比べても、専門的で細分化されています。そのため、キャラクター作成時の割り当てで頭を悩ませることになるし、あまり活用できない能力に複数ポイントを振ってしまうことも起こりえます。さらに消耗するかを決定するとき、「この能力はあと1点しか残ってないけど、後で消耗する機会がありそうなんだよなぁ」といった迷いでいらぬ時間を費やす可能性もあります。

どの『調査能力』にでも使えるリソースを渡すことで、使い尽くすことへの躊躇を減らす。また、最初に割り振るポイントを少なくして、キャラ作成をスムーズに進行させる。Pushの導入はこの2つの狙いを実現させることが狙いのようです。

「そのルール、着想は感心するけど、割り切りすぎててプレイの面白さに寄与するか不安…」なデザインをたまにやらかしちゃうロビン・ロウズ先生ですが、今回の変更は悪くない印象です。なんなら既存のGUSMOEベースのRPGに取り入れるのも容易ですし、機会があったら試してみたいところ。

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ジェイソン・モーニングスター氏がBitDハックを準備中

September Design Updates

Bully Pulpit Gamesの近況によると、フィアスコのデザイナーとして知られるジェイソン・モーニングスター氏が、Blades in the DarkハックのConeycatchersというシステムをコツコツ書いているとのこと。

Coney-catchingとは、エリザベス朝期のスラングで、盗賊や詐欺師を指す言葉とのこと。
内容は明かされてませんが、タイトルから推測するに、ダークなスチームパンク世界の悪党一味をプレイするBlades in the Darkを、イングランド黄金期に置き換えた
感じなのかも。

最初は短くまとめるはずだったのが、既に80ページ以上に膨らんでいるとのこと。
Powered by the Apocalypse(PbtA)とモーニングスター氏との出会いが、傑作『Night Witches』を生んだことを考えると、今回のハックにも期待が膨らみます。

なお、他案件はLARPっぽいのが主体なので、そちらに興味のある方は、記事の方を直接ご確認ください。

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帰った来たものぐさダンジョンマスター

Return of the Lazy Dungeon Master

蹴り忘れていた案件が、正式リリースされたのでメモ。
5年前に出たThe Lazy Dungeon Masterという、シンプルな準備でGMするための本をアップデートした内容で、RPGを遊ぶ際の準備と運用についての役立つアドバイス集とのこと。

Kickstarterの支援者はなんと6740人。
100ページと短いので、セールスがかかったときにでもおさえておくとよさそうです。

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デンジャー・パトロール ポケット版

レディ・ブラックバードのデザイナーである、John Harper氏が2010年頃から取り組んでいた、パルプSFヒーローものRPG。
それがデンジャー・パトロールです。

今回はその真髄を1ページに集約した、Danger Patrol Pocket Editionの訳を簡単に作ってみました。
本来はメモ帳や名刺用紙を、シートや脅威カードとして用いるのですが、簡易キャラクターシートが有志により作成されていたので、その訳もつけました。

デンジャー・パトロール ポケット版

ライセンスは共に、Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 United Statesです。
この訳のハックを作成し、公開される場合などは、同じライセンスにしたがってください。

次々に襲い来る世界への脅威に立ち向かう、宇宙を股に掛けるヒーローたち。
このシステムは、様々な力を有する彼らの戦い、災害への対処、そして行く手を遮る危難の数々を描き、彼らの活躍を楽しむという内容です。
シナリオは基本不要で、最初の脅威(PC人数+3)を事前作成するか、ランダム表を振って作り、メモ帳に書き写せば準備完了。
ヒーローたちのアクションとその成り行きを、ロールプレイやドラマを描く素材として用いて盛り上がり、物語は彼らの通った後に生まれるというスタイルです。

今回はポケット版の名前が示すように、元ルールのエッセンスだけを抽出した簡易版となります。
実のところ、元ルールは2010年に出たベータ版のまま開発が止まっており、復活の目処は立ってません。
より手軽に遊べるその2年後に登場したのが、このデンジャー・パトロール ポケット版です。
とはいえ、内容を読む限り、十分に楽しめる工夫が施されているので、よければ試してみてください。
このミニマムさは、1ページRPGにも通じるものがあるかもしれません。

あと、明記はされてませんが、面子によってはGMなしでも回る作りになってます。
というのも、セッション構造はわりとかっちり作られている上、PCに降りかかる危機はPLたちがその場で考案していく方式なので、明確にGMのみが担当する役割がないからです。
ルール慣れするまでは演出の補佐や、脅威カードの準備係としてGMを置く方が遊びやすいでしょうけど、2回目はGMレスでプレイする、なんてのも楽しいかもしれません。
素養のいいルールだと思うので、どうぞいろいろ試してみてください。

拙訳 コメント

会話をプレイの手段とするRPG

Apocalypse Worldのデザインは、結果的に2010年以降の米国インディペンデントRPGに大きな影響を及ぼしているといっても、過言ではありません。
その作者であるVincent Baker氏のミニブログに投稿されたRPGのデザインに関する内容が、概説に過ぎないとはいえ興味深い内容だったので簡単に訳してみました。

https://dice.camp/@lumpley/991...

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アポカリプス・ワールドには、ロールプレイングとは会話することだ、と書きました。
声に出して話し合うことを、プレイの手段としよう、という意図が込められています。盤と駒、デッキと手札として配置されたカード、スクリーン上のピクセルの代わりに、あなたと友人たちが互いに口にする言葉で、ゲームを行うのです。

ボードゲームでは、盤上の駒をどのように配置、移動、処理するかというルールが必要です。ガードゲームでは、カードを配り、保持し、プレイし、解釈するためのルールを要します。

ロールプレイングゲームでは、言うなれば会話のためのルールが必要なのです。話すべき事柄は? その事柄をどんな方法で話すべきなのか? 他者の言葉にどうやって応ずるべきなのか? といった。

Candylandでは、駒を移動させるための単純なルールしかありません。しかし、チェスでは、状況に応じて異なるルールを使います。駒が違えば移動も異なり、駒が互いに妨害したり取ったりするためのルールがあり、キャスリングやチェックやアンパッサンといった特例ルールも存在します。

RPGにおいても全く同じです。会話についてのゲームのルールは、状況によって変化しうるのです。

例えば、アポカリプス・ワールドの基本ムーヴ(*1)を、チェスの駒の移動が異なるのと同じものとして考えてみてください。

ポーンは1マス前に進みます。同じく、自分のキャラクターに他者を攻撃させるなら、そのキャラクターが立ち塞がるのか、それとも引き下がるのかを相手のプレイヤーに聞きます。

ビショップは斜め方向へと滑らかに動きます。同じく、自分のキャラクターを危地で行動させるなら、MC(*2)は好ましくない情勢を提示するか、どの程度不十分だったかを述べます。

そんなわけで、基本的な提言は次のようになります。一緒に話すことをプレイの手段とするゲームにおいては、主題が異なれば会話のルールは別なものにできるし、またそうすべきなのです。

ご清聴ありがとうございました。

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*1:アポカリプス・ワールドのムーヴは、引き起こされる状況と、その場合の処理とをセットにしたルールのこと。プレイは基本会話で進み、PCの行動や置かれた状況がムーヴに当てはまった場合、ルール的な処理が挟み込まれる。

*2:アポカリプス・ワールドにおけるGM。Master of Ceremonyを略した名称。

雑物 コメント